待っているわけじゃないの。
でもいつの間にか待っている状態に。
彼のことが好きだった、私は毎回情熱的に好きになるけど、その中でも本当に、私的には非の打ち所がないひとで、この人以上はいないと、そう思った。
出会った時は友達の好きな男だった。
好きなひとだと、紹介された。
事前にしょうもないエピソードを聞かされていた私は、しょうもない男だな、そんなにいい人かしら、と思った。
私は次の予定のため、お披露目を早めに抜けてタクシーで帰ってしまった。
次の日から、彼からの連絡が続いた。
事前情報とともに、自信家なちゃらめな男性にも免疫があり、さほど相手にもせず、誘いをのらりくらりとかわしていた。
それでも。
心のなんかしらの隙間があった時に彼の誘いに応じたことが、それから数年、彼だけが好きなひとになってしまう転機だった。